1-3. sngredを動かす(11)


1-3-11. 波長較正を行う。

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*********** Wavelength Calibration ***********
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 まず、コンパリソンラインの同定をIRAFのidentifyコマンドを用いて行う。 コンパリソンフレームの分散方向に沿った断面(図10)が表示されるので、それぞれの輝線の同定を行っていく。

図10. コンパリソンラインの同定(IRAFのidentifyコマンド)。 輝線の位置にカーソルを合わせて<m>キーでマークする。
図11. 分散のフィッティング。 フィッティングの際の残差(オングストローム単位で)が表示されている。 この例のフィッティングは非常によい。

まず、できるだけフレームの両端に位置する2本の輝線を<m>キーでマークする。 カーソルを合わせて<m>を押すと輝線がマークされ、

x-pixel x-coordinate (  truewavelength) :

と表示されるが、ここでtruewavelengthが同定された輝線の波長である。 同定が正しければリターンキーで確定する。 間違っておればここで正しい波長を入力する。 こうして2本の輝線の同定が終わったら、<f>キーを押し、一度ピクセルと波長の関係をフィッティングしておく。 フィッティングの残差がグラフで表示されるが、ここを<q>で抜け、元の画面に戻る。 次々と<m>キーで輝線をマークする。 今度はほとんど正しい同定がおこなわれるはずである。 もし、同定した波長がINDEFとなったらその輝線はsngredの持つ輝線テーブル(岡山鉄ネオンランプ用)に載っていないことを示している。 そのような輝線は処理に用いない方がよいので、いったんマークした後<d>キーでマークを消しておく。 輝線のマークが終了したら、もう一度<f>キーを押してフィッティングをしておく。 残差のグラフを見て異常に残差の大きなものがないかを確かめる(図11)。<q>を押し、元の画面に戻る。 さらに<q>を押し、identifyを終了する。

write feature data to the database (yes) ?

ここで自分の行った同定に自信があれば<y>と答えると、同定結果をファイルに書き出す。

>>>>> OK? <y/n/(skip)s>

<y>と答えると次のコンパリソンフレームに処理が移る。 こうして全てのコンパリソンフレームの輝線同定が終了すると

>>>>> Identify ok? Go to next step? <y/n>

と聞いてくるので、OKなら<y>と答える。 次にそれぞれのコンパリソンフレームの2次元同定をIRAFのreidentifyコマンドを用いておこなう。

Re-identify comparison lines...

この処理は先に同定した結果を用いて自動的に行っていくのでしばらく待っていれば良い。 reidentifyが終了すると天体フレームの前後のコンパリソンを内挿して天体フレームの2次元的な波長較正を行う。

Interpolate 'ident' files and fit coordinate

ここでIRAFのfitcoordsコマンドに入る。 これは、reidentifyのデータを2次元の多項式関数でフィッティングし、ピクセル→$波長への座標変換関数を求めるコマンドである。 fitcoordsが、

Fit coordinate interactively ? (yes) :

と聞いてくるので、普通は<y>と答えてグラフでフィッティングの様子を確認したほうがよい。 すると例によって例のごとくTextroウィンドウにフィッティングの残差のグラフが表示される(図12)。 もし残差の大きな点があれば<d> →<p>(<d>キーを押した後<p>キーを押す)で消した後、<f>で再フィッティングを行う。 フィッティングに満足すれば、<q>を押しfitcoordsから抜ける。

write coordinate map to the database (yes) ?

と聞いてくるので、ここは<y>と答える。

図12. 二次元座標変換関数のフィッティング(IRAFのfitcoordsコマンド)。 x印はフィッティングの際に残差が大きく無視された点。

各天体フレームについてfitcoordsを行った後、IRAFのtransformコマンドを起動しfitcoordsでフィッティングした座標変換関数を用いて座標変換を行う。

Fitting coordinate reference image...
Transform object frames...

こうして座標変換が行われ、波長較正が終了する。 結果のフレームは.wcという拡張子がついている。

 もし異なる分光器configurationやCCD binningで取得したデータがあった場合、それらのデータに対して上記1-3-2.から1-3-11.までの処理を行う。
 一日分のデータをすべて処理し終われば、sngredは終了である。 ご苦労様。 最終結果のフレームは元のフレーム名の最後に.wcなる拡張子のついたフレームであり、これらのフレームはCCDのピクセルに対する分散がフレーム全面で一定になっている。 従ってイメージを表示すると気付くが、生のデータでは分光器の収差により曲がっていた夜光輝線が.wcフレームではまっすぐになっているはずである。

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