1-3. sngredを動かす(10)


1-3-10. 宇宙線を除去する。

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*********** Removing Cosmic Rays ***********
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 宇宙線を除去するに当たってまずスカイをフィッティングして引く。 その後、IRAFのcosmicraysコマンドを用いて宇宙線を検出し、自作の内部コマンドclear_crで除去する。

Now detection and removing cosmic ray events...
Now processing objectframe
Now removing sky...
Now detecting cosmic ray... (IRAF cosmicrays task)

ここでIRAFのcosmicraysコマンドに入る。 Tektronixウィンドウに何やらグラフが表示される(図5参照)。 このグラフの意味はcosmicraysコマンドのマニュアルを読んで頂きたい。 sngredではcosmicraysの内部パラメーターfluxratio、thresholdをそれぞれ6.、50.と設定して宇宙線検出をかけている。 x印が宇宙線候補、+印は宇宙線ではないと判断されたfeatureである。 グラフ上の点線で描かれた横線はfluxratioの値を示している。

図5. 宇宙線検出(IRAFのcosmicraysコマンド)。 x印が宇宙線候補である。 図中の丸で囲んだfeatureについてそれぞれ<s>キーで鳥瞰図を表示してみたのが、図6、7。

さて、このグラフ上で典型的に宇宙線とそうでないfeatureの分布は異なる。 図5をよく見てほしい。 疑わしいfeatureは、カーソルを持っていって<s>キーを押せば周囲の鳥瞰図が表示される(図6、7)ので、それを見て宇宙線かどうかを判断する。 新たに宇宙線として判断したときは、カーソルをその点に合わせて<d>を押す。 宇宙線でないので除去しては困るfeatureはで宇宙線候補からはずされる。 この操作を納得のいくまで行ったら、<q>キーを押し、cosmicraysコマンドから抜ける。

図6. 図5において宇宙線候補となったfeatureの鳥瞰図。 四方向から見た様子が示されている。 こうしてみるとこれは明らかに宇宙線である。

図7. 図5で宇宙線候補でないfeatureの鳥瞰図。 天体のrealなスペクトルの一部と見受けられる。

ここで、このグラフに関して重要な事を注意しておこう。 このグラフを見ただけで、実はこれまでの処理(バイアス引きからフラットフィールディングまで)がうまくいっているかどうかの判断ができるのである。 これまでの処理がうまくいっている場合はグラフ上にあまりたくさん点は表示されない(典型例は図5)。 しかし、何かの処理が間違っているかうまく働いていないときは、グラフに非常に多数の点が表示される(図8)。 図8のようなグラフになったら、とりあえずCTRL+cでsngredを中断し、displayコマンドなどでおかしいフレームのイメージを見たり、pcol等のコマンドで断面を表示したりして、どの処理が誤っているのかを見きわめよう。 大抵はフラットフィールディングの失敗であるので、例えばフラットフィールディングのところからsngredをやりなおしてみる。 何度やっても同じ様な結果になるときは、そのフレームを撮った前後に何か観測機器に変な事が起こり生データそのものがおかしくなっている可能性がある。 こうなったらもはやそのフレームに関してはsngredは使えないので、IRAFコマンドを用いて処理するしかない。 また、星のような明るい点光源を撮ったときはグラフは図9のようになる。 このときはグラフに表示されている点はほとんどreal featureであるので、カーソルを適当な位置に持っていって<f>を押し、fluxratioを下げて宇宙線の誤検出を避ける。

図8. 異常な宇宙線検出の例。 このようなグラフが表示されたらそれまでの処理(特にフラットフィールディング)を疑った方がよい。
図9. 標準星のフレームにおける宇宙線検出。 強い点光源の写っているフレームではこのようなグラフとなる。 ここでの右端にある全てのfeatureはrealな信号なので、<t>キーでfluxratioを下げて誤検出を避ける。

さて、宇宙線検出が終了すれば続いてその除去を行う。 宇宙線を除去したフレームには.crという拡張子がつく。

Now getting cosmic rays' image...
Now removing cosmic rays, wait...
 以上の手続きを一枚一枚の天体フレームについて行って宇宙線除去は終了である。

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