1-1. バイアスを作る
まずしなければならないのはバイアスフレーム作りである。
観測期間中に得た多数のバイアスフレームを平均して高S/Nのバイアスフレームを作る。 新カセ分光器に現在くっついているCCDのバイアスは明らかに固定パターンがあり、単純に定数を引き去ることでバイアス差し引きとすることはできない。 そこでできるだけたくさんのバイアスを使ってS/Nの良いバイアスを作ることが必要となってくる。 sngredの中でバイアスを作ることも可能であるが、どうせなら観測期間中のすべてのバイアスを平均した方がよいので、ここではsngredに入る前にバイアスを作る方法を紹介する。
- まずデータの入ったテープから一日分のデータをまとめてディスクの然るべきディレクトリに読み込む。
- sngパッケージのコマンド、roaodataを用いてFITS形式からIRAF形式にフォーマット変換する。 例えば、生データ(FITS)が/fitsdirというディレクトリにあり、IRAFのヘッダーファイルを/yourhomeに置きたいとすれば、
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roaodata /fitsdir/ /yourhome/ ↓
(注: roaodataではディレクトリ名の最後に必ず"/"をつけること)
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- file name template : csd*↓
output file list name : datalist↓
と入力する。これでrfitsが行われ、読み込んだデータのリストがdatalistに書かれる。
- sngパッケージのコマンドである、mbiasmakeでその日のバイアスをすべて平均化する。mbiasmakeは入力したデータを仕分け、バイアスだけを自動的に選び出して平均化作業を行う。 このとき、バイアスの時間変化を記録したファイルも同時に作る。
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- mbiasmake @datalist
処理は次のように進む。
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- Now grouping CCD images...
>>>>> Do you delete other data ? <y/n>
これは入力したデータの内、バイアスとダーク以外のフレームを消去するかどうかを聞いている。今の場合はバイアスを作ることが目的で他のフレームはいらない、しかも観測日を変えてどんどんバイアスを作っていこうとしているので、ここは<y>と答える。 もちろん、ディスク容量に余裕のある場合は<n>と答えても良いのだが。
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- Now calculating statistics of images...
Now getting data acquisition times...
stat_of_bias.dd is created...
このstat_of_bias.ddというのがバイアスの時間変化記録ファイルである。ddには観測の日付がはいる(日だけ)。
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- Combining bias frames...
Standard bias frame std_bias.dd is created...
こうして平均化されたバイアスフレーム std_bias.ddができた。
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- Do you delete raw bias data ? <y/n>
生のバイアスフレームを消すかどうか聞いている。普通は残して置いても仕方が無いので<y>と答えて消してしまう。
これでmbiasmakeは終了する。 このコマンドを終了すると、ダークのリスト DARK.ddができており、ダークフレームは消されずに残っている。 バイアスが作り終わったら次にダークを作るのであわてて生のダークフレームは消さないようにする。
- 観測日の違うデータについて上記1.から3.までの手続きを繰り返す。
- 観測期間中の全データについて1.から3.までを行うと、それぞれの観測日毎のバイアスフレームの平均、std_bias.ddができているはずである。次にこれらを平均化し、観測期間中を通じての平均バイアスフレームを作る。 それにはbiasaveを用いる。
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- biasave std_bias.*
これにより観測期間中のすべてのバイアスフレームを平均化したフレーム std_biasができる。
ここまででバイアス作りは終了である。 必要なければそれぞれの観測日毎のバイアスフレームは消しておいたほうが無用な混乱を避ける意味でよい。
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- imdelete std_bias.*.imh
上の書式に注意せよ。 単にstd_bias.*などと指定すると折角作った std_bias まで消してしまう。 *.imhというところが重要。
- ディスク中に DARK.dd、stat_of_bias.ddといったファイルと生のダークフレームが残っていることを確認したら次の「1--2. ダークを作る」に進もう。
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