OASIS観測者用マニュアル ver.2.2.2

山下卓也 1996年8月
奥村真一郎 1998年3月 改訂

(Last Updated:1999.3.5)

本稿では岡山天体物理観測所の共同利用観測装置であるOASISの観測手順を概説する。

最近のアップデート(1999/2/12)


目次

1. 観測開始前に
2. 基本操作
3. 撮像観測
4. 分光観測
5. その他注意すべき項目
6. OASIS観測FAQ集(作成中)


1. 観測開始前に

1.1 OASISの操作

 観測手順の説明に先立って、操作に関連するOASISの基本的な情報を以下にまとめる。観測時に観測者が操作する必要のある部分は以下のうち、

撮像観測の場合 1、2 (必要に応じて4のミラー角度調整も)
分光観測の場合 1〜5

である。

  1. 読み出しシステム: NICMOS3の読み出し。

  2. フィルター選択: フィルターホイールの回転による広帯域、狭帯域フィルターの選択。ホイールは3軸ある。

  3. スリット選択: スリットホイールの回転による焦点面のスリット(及びイメージング用の素通し) の選択。

  4. 最終ミラー角度選択、調整: ミラーホルダーの回転による撮像モード−分光モード間の切り替え、および角度の調整。

  5. グレーティング角度選択: グレーティングホルダーの回転によるグレーティングの選択及び角度の調整。

  6. 検出器の光軸方向位置: OASIS内での焦点合わせ。(手動)

  7. 光軸の調整: 望遠鏡の光軸とOASISの光軸を合わせる。(手動2軸)

 これらの部分のうち、1〜5の操作はワークステーションから行う。操作の方法は1については2.1、2〜5については2.2章を参照のこと。

 検出器の位置調整(6)は何らかの理由でOASISの分解を行った場合に一度だけ行なう必要がある。この調整は通常観測所員があらかじめ行なっている場合が多い。(6)の作業についてはこちらを参照してください。

 また、光軸の調整(7)はOASISを望遠鏡に取り付けた後、最初に一度だけ行えばよい。装置交換後の最初の観測者に限り、最初の晩に(最初に晴れた晩、多少雲があっても可能)オペレーターと協力して行なって下さい。(7)の作業についてはこちらを参照してください。

1.2 赤外線観測

 赤外線検出器はまだbad pixelが多いため、1フレームでは取得できない情報が多くなる。そこで、1種類の画像データ (撮像観測でも分光観測でも) に対して位置をずらせた複数のフレームを取得して補完し合い、情報を失わないようにする。通常OASISでは、撮像観測のときにはこの例のように2次元的に望遠鏡を移動させ、また分光観測のときにはスリットに沿って移動させて5〜10枚程度のフレームを取得する。
 また、赤外線ではOH夜光や望遠鏡からの熱放射によりバックグラウンドが多いため、短い積分時間でバックグラウンドリミティッドになりかつ検出器が飽和する。従って、1フレームの積分時間は必然的に短くなる。OASISでは最も短いKバンドの撮像では数秒、最も長いJ、Hバンドの分光でも最高で10分程度の積分時間である。
 検出器に用いているNICMOS3についての詳細なパラメータはこちらを参照して下さい。

1.3 観測装置の冷却 -->> 「最近のアップデート」を参照してください


2 基本操作

2.1 データ読み出しの操作

 OASISの赤外線アレイ検出器を読み出すには制御室のワークステーション "sisko" (右の写真)を用いる。1フレームのデータを取得してハードディスクに記録するタスクを "Object" と呼び、データは記録せずに画面に表示させるだけのタスクを "Movie" と呼ぶ。また、同じ露出時間のフレームを複数枚連続で取得する(主にダーク画像取得のための)タスクを "Dark" と呼ぶ。

2.2 フィルター等可動部分の操作

 フィルター、スリット、ミラー等、観測時に操作を行なう部分はすべてワークステーションから遠隔操作できるようになっている。これら可動部分の現在のステータスは xoasis の window 上に常に表示される。なお、これらの操作をするときには Movie などの読みだしの操作を一旦止めてから行なうこと。


3. 撮像観測

3.1 写野のP.A.の調整

 OASISの写野のX-Y軸(上が北、左が東)を以下の方法でR.A. Decl. 方向に合わせる。

  1. 適当な明るさの点状天体(通常は 8〜10 等級程度の星)を写野に導入する。 (J または H バンドで行うのが適当)
  2. 天体をR.A.方向に移動させて、その軌跡がX軸と平行になるようにカセグレンローテーターのスイッチを操作してP.A.の角度を調節する。(P.A.の角度は望遠鏡制御画面の左下付近に表示されている)通常はP.A.=91〜92°で平行になる(オフセットがあるため)。

3.2 暗い天体の同定方法

 望遠鏡のポインティングは OASIS の4分角の写野に比べると十分に良いので、望遠鏡制御系にインプットした天体はほとんどの場合写野に入っている。ただし、いつも写野の中心に天体が来るとは限らないので、天体の同定は OASIS の画面に表示される生データで行う必要がある。等級で比較すると、波長が短い方が高感度なので、特に赤い天体を除くと Jバンドで同定を行うのがよい。Jバンドでの movie でも(フラットで補正をしなくても)、通常のファインディングチャートの写っている天体は認識できるので、天体の同定はそれほど困難ではない。ただし、天体のカラーによって(通常可視光である)ファインディングチャートと Jバンドのイメージでは明るさの比が大きく異なる場合があるので、同定作業中にこの点には気をつけなければならない。
 将来的には flat を登録しておいて生データだけではなく flat で割り算した画像を表示するオプションを選択可能にする予定であるが、現状ではその機能はない。従って、次善の策として暗い天体や銀河のように広がった天体を同定するには以下の方法を用いる。

  1. 目的の天体が入っていると思われる方向に望遠鏡が向いたら、SAOimage の blink 機能(上段のバーでScaleを選択)を用いて画像を記憶させる。
  2. 望遠鏡を10秒角程度を移動させてから blink に記憶させた画像と交互に表示させると、広がった天体がわかりやすくなる。
もしくは、
  1. 目的の天体が入っていると思われる方向に望遠鏡が向いたら、画像を1枚取得し、望遠鏡を10秒角程度を移動させてからもう一枚撮る。
  2. siskoでIRAFを立ち上げ、この2枚の画像の引き算をする。
  3. 引き算をした画像をSAOimageに表示させる。

3.3 標準星

 標準星は Elias 1982 (AJ, 87, 1029) のリストや UKIRT 等海外の望遠鏡で作成されたリストにあるものを用いる。これら以外に、柳沢氏作成による標準星リスト(元はAJ 115,2594から抜粋、ファインディングチャート付きで非常に便利)が制御室に置いてあるので、これを用いても良い。標準星は十分に明るいので測定の精度を左右するのは nominal な S/N 比ではない。近赤外線では可視光よりに比べてエアマス依存性が少し小さいが、測光の場合には頻繁に標準星を観測する必要がある。また、1回の標準星の観測では、測定のばらつきを見るためやフラットエラーをキャンセルするためにも、各バンドにつき画面上の位置を変えて最低5枚のイメージ(dead pixelにかからないもの)を取得するべきである。
 現在のところの最短の積分時間である1.4秒では、7等級ぐらいの標準星は saturate してしまう。そこで、フォーカスをはずして、もっとも高い ADU カウントが4000以下になるようにする必要がある。ただし、フォーカスを外すと面積が大きくなるので、標準星が dead pixel にかかる可能性が高くなるので注意が必要である。

3.4 ドームフラットの取得

 H、Kバンドでの観測ではドームフラットのデータが解析の際に必要となる。(OASIS撮像マニュアル参照)。Jバンドではスカイフラットを用いてもほとんど問題はないが、カウント数が少なく、やはりドームフラットを取得した方が良い。ドームフラットフレーム作成の手順は次の通りである。

  1. ドームのスリットを閉める。
  2. 望遠鏡をドームフラットの方向に向ける。
  3. 階段上がった横のドアが開いている場合はこれを閉め、ドーム内の蛍光灯を消す。
  4. ドームフラットの電源のコンセント(制御室入ってすぐ右にある。こたつのスイッチのようなコンセントにつながっている場合はこれをはずす)をケンウッドの電源(通常はパソコンの横あたりに置いてある)につながっているコンセントとつなげる。
  5. Movie で見ながら、bad pixel を除いた最も高いカウントが3000〜4000程度になるように電源の電圧を操作する。(積分時間は通常2秒でよいが、夏場のKバンドの場合1.4秒、また狭帯域フィルターの場合で電圧を目いっぱい上げても光量が足りない時は積分時間を適当に長くする)
  6. 電源ONの状態で10〜20枚データを撮る。
  7. ケンウッドの電源の出力をOFFにし、残像の影響を少なくするために20秒ほど間を置き、同じ積分時間で同じ枚数取得する。

3.5 参考データ


4. 分光観測

 ここでは、撮像観測が行える状態から出発して分光観測を行う手順を説明する。撮像観測を行なわない場合でも3章は一読すること。特に分光観測時にはスリット方向に天体を移動させることがしばしばあるので、3.1に記述したように写野のP.A.を正しく東西南北に合わせておくことは重要である。(ただし、広がった天体などでP.A.を自分で設定している場合はこの限りではない)
 分光観測を進める手順として、スリットビュワーで見える天体(可視の等級が14等以下)とスリットビュワーで見えない天体で異なるので、以下で別々に説明する。

4.1 スリットビュワーで見える天体

 スリットビュワーで見える天体の場合は、天体のスリットへの導入がスリットビュワー上で容易に行えるので、分光モードのままで観測天体の変更が可能である。また、同じ設定(波長範囲など)で分光観測を異なる複数の天体に行う場合には、一連の観測開始時に必要な分光モードの設定を行えば良い。撮像モードから分光モードに変更するには以下の手順で行う。

  1. 観測の目的、天候状態等からスリット幅、観測波長範囲を決定する。
  2. ドーム内の蛍光灯を消灯しているのを確認し、スリットビュワーで用いるI・Iカメラの電源、イメージΣとその上に載っているディスプレイの電源を入れる。I・Iカメラのゲインは適当に調節する。I・Iカメラが立ち上がるのに5分程度時間がかかる(特に冬場)。
  3. スリットホイールを回転させて撮像用の"素通し"から、"使用する幅のスリット"に変更する。このとき、スリットが検出器の横軸に平行(画面上で水平)になるように調節する(2.2参照)。スリットを入れるとイメージΣのディスプレイにスリット像が見えるようになる。
  4. Setup メニューから Mode の window を開き、分光モードに切り替える。また、グレーティングの角度調節を行ない、おおよその位置に設定する。
  5. 観測波長範囲の微調整を行う。Setup メニューから Grating の window を開き、adjust に正の値を入れると波長のより長い方を、負の値を入れると波長の短い方を見る方向に角度が変わる。波長同定の方法は以下の3通りある。

    OH夜光を用いるのが最も手軽、かつ正確である。取得したイメージのパターンに対しての波長同定に自信があればOH夜光を波長の最終確認や取得波長範囲の微調整に用いるのが良い(KバンドのOH夜光ファインディングチャートはこちら)。もし、波長同定に不安がある場合には、明るい天体を導入してフィルターの特性(狭帯域フィルターの透過範囲や広帯域フィルターの波長端)を用いて大まかに波長を決めた後にOH夜光を使うのが確実である。

  6. 波長範囲を確認したら、スリットビュワーの画面を見ながら天体をスリット上に載せ、Movie でカウント数を確認し、積分時間を決定し、積分を開始する。積分中はスリットビュワーの画面を見ながら手動でガイドを行なう。積分が終れば、スリット方向に少しずらしてまた積分を繰り返す。

4.2 スリットビュワーで見えない天体

 スリットビュワーで見えない天体は、天体の導入にOASISのイメージングモードを用いる必要がある。従って、天体を変える度に手間が増えることになる。手順は以下の通りである。

4.2.1 ガイド星がスリットビュワーで見える場合

  1. I・Iカメラを立ち上げる。(4.1参照)
  2. イメージングモードで天体の同定を行う。
  3. 目的天体を(スリットがあると思われる)画面中央に移動させる。(直前にスリットが入った状態の時はその状態でスリットのイメージを SAOimage に blink しておくとより確実)
  4. スリットホイールを回転させて、使用するスリットを選択する。やはりスリットが画面に対して水平になるように微調整する。
  5. 目的天体をスリットに導入し、スリット方向に望遠鏡を振って天体がスリットから外れないことを確認する。天体をスリット上、積分を行なう位置へ持っていき、そこでのガイド星の位置をモニター上に記し、後のガイドに用いる。(天体をスリット方向に少し(5〜10 pixel 分)ずつずらして何ヶ所かしるしをつけておくと後で便利)
  6. 分光モードにして積分を開始する。積分中はモニタのガイド星を見ながら手動でガイドを行なう。積分が終れば、スリットビュワーのガイド星を見ながらスリット方向に少しずらして、積分を繰り返す。

4.2.2 スリットビュワーでガイド星も見えない場合

 天体をスリット上に導く方法は 4.2.1 と同じ。露出時間を5〜10分程度と長くとりたい場合にはオフセットガイダーを用いてガイド星を探すことになる。(オフセットガイダーを用いた場合、オートガイドが可能)この場合、ガイド星のファインディングチャートがあれば良いが、そうでないとガイド星を探すのにかなりの時間を費やすことになる場合もある。従って露出時間が短い(1〜2分程度)場合にはノーガイドで数多く露出をした方が効率的だと思われる。

4.3 標準星

 地球大気の吸収を補正するために標準星のスペクトルをとる必要がある。水素原子のブラケットシリーズ、パッシェンシリーズ以外に目だった feature のないA0V型星が通常使われるが、見たいラインの波長や幅によっては他のスペクトル型の星を選ぶ必要がある。単に地球大気の吸収を補正するだけであれば、できるだけ近くにあるA0V型星を Bright Star catalogue などから探し、できるだけ近い時間に観測すればよい。(オブジェクトの前後で標準星のスペクトルを取っておくのが最も理想的)なお、フラックスの calibration を行なうならば、明るさのわかっている標準星のスペクトルを同時に取る必要がある。明るさのわかっている標準星については3-3を参照のこと。

4.4 ドームフラットの取得

 分光観測ではドームフラットを分光モードで取得したフレームをフラットフィールディングに用いる。以下、分光モードでのドームフラットの撮り方を説明する。

  1. ドームのスリットを閉める。
  2. 望遠鏡をドームフラットの方向に向ける。
  3. 階段上がった横のドアが開いている場合はこれを閉め、ドーム内の蛍光灯を消す。
  4. OASISを分光モードにする。
  5. ドームフラットの電源のコンセント(制御室入ってすぐ右にある)をこたつのスイッチのようなコンセントにつなげ、このコンセントに付いているスイッチをONにする。
  6. Movie で見ながら、bad pixel を除いた最も高いカウントを調べる。
  7. 最も高いカウントが3000〜4000になるように積分時間を設定し、電源ONの状態で10〜20枚データを撮る。
  8. 電源をOFFにし、残像の影響を少なくするために20秒ほど間を置き、同じ積分時間で同じ枚数取得する。

 ドームフラットを撮る時の望遠鏡の向きは観測時と大きく異なっている場合が多く、たわみのために同じセッティングでも見ている波長がずれる(たいていは長い方に)ことがある。このずれを気にする向きは撮像のドームフラット画像を変わりに使う手もある。撮像のフラット取得の方法は3.4参照。


5. その他注意すべき項目

5.1 検出器温度

 検出器温度は制御室内の Lake shore 製の温度コントローラー(写真)によって制御されている。通常、検出器温度は 80Kに設定されている(下段の表示)。上段は現在の検出器温度で、この温度が、下段の温度と一致しているかどうかをチェックすること。この温度が目標値と一致しない場合は、真空度の悪化が、考えられる。この場合は、すみやかに観測所員に連絡して対処を依頼すること。真空引きのマニュアルは
こちらにあります。
 設定温度と検出器温度が一致しなくなると安定したデータが得られなくなる。こうなる前に状況が悪化していることは、温度コントローラーのヒーター目盛りの変化で知ることができる。OASISカメラ部分の温度は検出器の目標温度より低いので、温度コントローラにがヒーターを制御して温度を一定に保っている。従って、カメラ部分の温度が上昇してくるとヒーターの出力が低下してくる。ヒーター出力は温度コントローラーのバーグラフに表示されるので、正常な状態の目盛りを覚えておいて時々チェックしておくと良い。

5.2 ハードディスクの残容量

 OASISの観測データは制御用ワークステーション "sisko" の /home/oasis/ の下に記録される。このパーティションの総容量は 1.3 Gbyteあり通常の観測には十分であるが、以前の観測のデータが残っている場合には残容量が不足する場合もある。この場合は観測開始前に確認し、観測所の了承を得て不要なデータを消去する必要がある。OASIS の観測データは 1フレーム当たり約 130 Kbyte である。

5.3 データのバックアップ

 観測データは "sisko" に一旦セーブされ、翌日の正午に日付のディレクトリが自動的に作られ、そのディレクトリの下にデータを移動させると同時に本館のワークステーション"odo"の/scr/obsdata/oasis の下に同じ日付のディレクトリがセーブされる。従ってsisko のホームディレクトリに日付のディレクトリを勝手に作ったり、データを勝手に他のディレクトリに移動したりしないように気をつけること。また、 odo にセーブされたデータは翌日に圧縮がかかるようになっている。これを元に戻す方法はこちらを参照のこと。圧縮されたデータを解凍する時は他のディレクトリにコピーしてから行なうようにすること。

5.4 ワークステーション"sisko"へのアクセス

 データ取得の際の露出時間は"sisko"の時計を基準にしている。従ってこのマシンに余計な負荷をかけると露出時間にくるいが生じてくる。リダクションなどのために本館のワークステーションへ ftp するときは露出中は避けること。また、外部からこのマシンにアクセスすることは特別な理由がない限りしないこと。
 なお、計算機室のワークステーションに「oasis」でログインすると、自動的に"sisko"の/home/oasisがマウントされるので、観測中は特に注意すること。

5.5 SAOimage上のカーソル

 5.5で述べたのと同じ理由で、露出時間中、特に露出の終る間際にマウスのカーソルをSAOimage上で動かしていると積分時間にくるいが生じることがある。怪しい時は"xoasis_status"の window で積分時間のチェックをすること。

5.6 ウィンドウ上の結露とゴミ

 湿度が高いと、光軸の入射窓(スリットのすぐ上にある窓、光学系の図参照)に露がつくことがある。露がつくと画像の真ん中付近に円形の模様が見えるようになる。模様の大きさは着いている露の量によって変わり(結露が進むにつれ半径が大きくなってゆく)、この模様は通常Jバンドでは周りよりも暗く、Kバンドでは明るく見える。結露した場合には、アクイジションガイドの北側のフタをはずし、手を突っ込んでキムワイプなどで窓を拭いてやる必要がある。
 また、結露しなくとも窓の上にゴミや虫の死骸などがのることがある。ゴミがのると画像上で直径24pixel程度のスパイダーパターンが見られる(画面のどの辺に見えるかはどこにゴミがのっているかによる)。これもやはりJバンドでは周りよりも暗く、Kバンドでは明るく見える。ただし、生データ(Movieの画像)ではかなり気をつけて見ないとわからない場合が多く、リダクションをしてから気がつく場合もある。ゴミがのっているのがわかった場合も同様に拭いてやる必要がある。なお、アクイジションガイドのフタを開ける時は必ずI・Iカメラの電源がoffになっていることを確認してからにすること。

5.7 冷凍機などのケーブルについて ←重要!

 観測床から北ピアを通ってOASIS本体まで何本かのケーブルがつながっている。これらのケーブルは、観測中に望遠鏡の向きをいろいろ変える可能性があるので長さに少し余裕を持たせてある。そのために、望遠鏡を動かした時に望遠鏡サイドについているガイド用望遠鏡をこれらのケーブルに引っかけてしまうことがある。望遠鏡を大きく動かす時には必ず(I・Iカメラの電源OFFを確認した上で)ドーム内の照明を付け、目視で確認しながらポインティングを行なうこと。特に、西の空を観測したのち天頂方向や東方に戻す時には要注意である。


6. OASIS観測FAQ集(作成中)


 このマニュアルは今後もよりわかりやすいように改訂を加えてゆくつもりです。わかりにくい点や説明不足の点などなどお気づきの点は、奥村真一郎までお知らせ下さい。

奥村真一郎
国立天文台 岡山天体物理観測所