ロングスリット
岡山天体物理観測所では、HIDESをもちいて惑星状星雲等の広がった輝線天体を観測するために必要となる狭帯域フィルターを所有しています。
これらのフィルターを用いることにより、隣り合う回折次数に重なることなく、スリットを最大78秒角にまで広げることが可能となります。
これらのフィルターの波長-透過率曲線は以下に示してあります。 以下の透過率曲線を測定するためにフラット光源を使用しました。
Hβλ4861の透過曲線
[OIII]λ5007の透過曲線
[OI]λ6300の透過曲線
Hαλ6562の透過曲線
[NII]λ6583の透過曲線
[SII]λλ6717,6731の透過曲線
各フィルターの透過率および半値幅は下の表を参照してください。フィルターの特性を考慮したうえで、積分時間の決定、天体の選定をおこなってください。
ロングスリット観測専用狭帯域フィルターはスリット直後に設置されている、スライド式フィルターフォルダに収納されています (2005年2月に新設)。
このフィルターターフォルダには、5cm X 5cm角の6枚のフィルターが収納できるようになっています。フィルターへの入射角の設定は4°となっています。
フィルターを持ち込んで観測を希望している方は、準備・調整が必要となる場合がございますので、事前に当観測所所員にご相談くださるよう、お願いします。
通常の観測モード(マルチオーダ)での場合、観測波長域により違いがありますが、隣り合う回折次数に重なることなく広げることができるスリット長は最大、5秒角(5000Å付近において)〜16秒角(6000Å付近において)です。
以上のことに注意して観測をおこなってください。
フィルター選択の手順 †
フィルターの選択はCoude GUI上で行うことができます。
- Coude GUI上のFilter2のパネルをクリック。
- 使いたいフィルターを選択する。
フィルターの種類 | λcenter | λFWHM | Peak Trans. | GUI上での表示 | Scan Degreeの目安 |
Hβλ4861 | 4862.1Å | 12.4Å | 48.43% | 486 | -2.17 |
---|---|---|---|---|---|
[OIII]λ5007 | 5006.6Å | 13.0Å | 50.09% | 500 | -2.02 |
[OI]λ6300 | 6302.4Å | 19.4Å | 62.77% | 630 | -1.01 |
Hαλ6563 | 6565.0Å | 22.8Å | 61.16% | 656 | -0.83 |
[NII]λ6583 | 6582.2Å | 21.0Å | 52.83% | 658 | -0.83 |
[SII]λλ6717,6731 | 6725.6Å | 23.1Å | 45.33% | 672 | -0.73 |
使わない | - | - | - | NONE | - |
※Scan Degreeの値はCross-Disperser: Redを選択した場合の値。
ー選択したフィルターが光軸を通るようにフィルターターレットが回転し終えるまで待つ。(エンコーダの値を参照しながら厳密に合わせるので 少し時間がかかる。)
積分時間の決定 †
以下の点を考慮した上で積分時間を決定してください。
- フィルターを通すと天体、コンパリソン(Th-Arランプ)、フラット光源からの光量が通常の50%〜60%以下まで減少することを考慮してください。
- また、イメージローテータを用いて観測すると天体の光量がさらに減少します(現在のHIDESの光学系では、イメージローテータを用いることで、コンパリソン、フラット光源からの光量は減少しません)。
- イメージローテータはスリット前に置かれている、10cm 〜15cm角の3枚の平面鏡からなる光学系です。平面鏡単体の反射率は約75〜90%となっています(2005/04/04現在)。
- イメージローテータを通すことにより、天体からの光量は(75%)^3≒42% 〜 (90%)^3≒73%、つまり、約30〜60%減少します。この点にも注意して積分時間を決定してください。 If you have any questions or suggestions about this page, please mail them to Masaaki OTSUKA.(Last update: 6, Apr, 2005)
Last-modified: 2008-02-08 (金) 17:22:18 (5921d)