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第22回 天体スペクトル研究会

日時
2017年3月4日(土)午後1時〜5日(日)午後1時(予定)

会場
仙台市天文台アクセス

ご挨拶
 天体スペクトルを利用して研究されている方、分光器の研究や制作をされている方、学校などで天体スペクトルを教えている方々を対象に、今年も研究会を開催いたします。下記の通り、発表(口頭・ポスター)および参加の申し込みを受け付けています。

お知らせ(参加のご案内、申込方法、プログラム等)
第一報(2016.12.12)
第二報(2017.01.20)
第三報(プログラム等)(2017.2.26)

予稿集

口頭発表:


太陽系外惑星探索(佐藤 文衛@東京工業大学):招待講演

1995年、太陽以外の恒星を回る惑星―太陽系外惑星―が初めて発見されました。それ以来、3000個を超える太陽系外惑星が発見されています。太陽系は特別なのか、地球のような惑星はあるのか、そもそも、太陽系外惑星をどうやって見つけるのか、太陽系外惑星研究の最前線をご紹介します。


新星シェルの構造解析(内藤 博之)

新星は爆発すると大量のガスを宇宙空間に放出し、新星シェル・新星残骸として観測される。今回、V1280 Scoにおいて、[O III]禁制線を用いたシェル構造解析を行ったので、その結果について発表する。


極超新星におけるヘリウムの発見(山中 雅之)

極超新星は、典型的なIb/c型超新星に比べ爆発エネルギーの一桁大きな爆発現象であり、そのスペクトルは非常に幅の広がったラインを示す。我々は光赤外線大学間連携を通じて15年来の近傍極超新星SN 2016coiの早期分光観測に成功した。その結果、幅の広い吸収線とともに、強いヘリウムを見出すことができた。


アーカイブデータを用いたB型星の近紫外域化学組成比解析(西村 昌能)

近年の高分散分光器の発展で高分散かつ高SN比、広範囲波長域(3000〜10000Å)の高品質なスペクトルが得られる時代になった。我々はアーカイブ化されたデータを利用して、Teff~17000Kの主系列星(化学特異星を含む)を全可視波長域で解析を行っているが、今回は近紫外で得られた知見を紹介していく。


早期B型星に弱い輝線を発見(定金 晃三)

高温のB型星(B2~B3型)の多くにケイ素とアルミニウムの一回電離イオンから出る弱い輝線が見えていることを見つけた。これらの輝線の存在は、高温のB型星の表面にいまだ知られていない熱的な現象が起きていることを示唆している。発見の経緯と解釈の可能性について報告する。


自作分光器による太陽観測(Ⅲ)~アトラスとCaⅡKヘリオグラム~(坂江 隆志)

1次スペクトルをカラーカメラで撮像した画像を繋ぎ合わせ、355~875nmにわたるアトラスを作成した。また、高次スペクトルを用いたCaⅡK吸収線のスリットスキャン観測から作成した多波長ヘリオグラムについても報告する。


高校「課題研究」における、天体スペクトルの研究事例(石田 光宏)

講演者が勤務する横浜サイエンスフロンティア高校には、割り振られた分野の研究を1年間かけて行う課題研究型の授業がある。本講演では、「天文分野」において行ったスペクトル研究の例、観測機器などを紹介する。


β Lyrの高分散分光観測による双極アウトフローの幾何と速度場の解明(新中 善晴)

食連星系であるβ Lyrにおいて示唆されている軌道面に垂直に分布する幾何構造について、H-alpha線の高分偏光分光観測から空間分布と速度場を明らかにした。得られた幾何の描像について議論する。


FU Ori型星V960Monの分光モニター観測(高木 悠平)

西はりま天文台なゆた望遠鏡MALLS を用いFU Ori型星V960 Monを約2年に渡り分光モニターし、Hα線のP Cygniプロファイルや吸収線等価幅が変動している様子を捉えた。この結果からV960 Monの活動と増光メカニズムについて議論する。


接眼分光器を用いた天体物理学入門(橋本 修)

天体のスペクトルと直接像の色とを同時に見比べることができる接眼分光器を製作した。一般的な観望から一歩進んだ本格的な天体物理学の教育手段に用いることを目指したものであり、その可能性を紹介する。


観測の全自動化に向けたHIDES-F用キューモード観測環境の構築(前原 裕之)

HIDES-Fの観測の全自動化に向けてキューモード観測システムを構築し、観測スクリプトを用意すれば観測を自動的に進めることができる環境を実現した。システムの概要や観測効率などを評価した結果を紹介する。


高い磁気活動を示す近傍の太陽型星の高分散分光観測(野津 湧太)

スーパーフレア研究の一環として、X線観測衛星ROSATによる全天サーベイで受かった太陽型星49星について、岡山188cm望遠鏡HIDESで高分散分光観測を行った(Notsu+2017, PASJ, 69, 12)。その結果(自転速度,彩層活動性, Li組成)を報告します。


西はりま天文台でのフレア星連続分光観測(本田 敏志)

フレア星EVLacについて、西はりま天文台なゆた望遠鏡のMALLS分光器で連続分光観測を行い、フレアと思われる現象を分光観測することができたので、その結果について報告する。


A型主系列星KIC11145123の分光解析(比田井 昌英)

A型主系列星KIC11145123は、星震学的に射影回転速度Vsin i = 1 km/s で剛体回転をしていることが発見された(Kurtz 2014)。 この星の性質を探るためにすばるHDSの分光データを解析した。


貴金属に富む磁気特異星HD94660(加藤 賢一)

白金の存在はHgMn星では比較的良く知られているが、磁気特異星のHD94660にも見つかった。太陽の50万倍の濃縮度で、金や銀も同程度あるようにも見える。6.2KGの強磁場を持ったこの星の特性を紹介する。


ひとみ望遠鏡分光器の性能と運用例(松下 真人)

ひとみ望遠鏡に搭載されている中分散分光器の性能やこれまでに使用した研究例を紹介します。


巨大ブラックホールを周回する星の近赤外線高分散分光観測(西山 正吾)

銀河系の中心にある巨大ブラックホールSgr A*を周回する星の視線速度を測定するため、すばる望遠鏡を用いた近赤外線高分散分光観測を行った。これまでの2回の観測結果を報告する。


IIb/Ib遷移超新星SN 2016bauの可視近赤外観測(河原 直貴)

型超新星は水素外層が剥ぎ取られた親星における重力崩壊型超新星である。我々はIb型超新星 SN 2016bauに対してかなた望遠鏡で分光観測を行い、Ib型には見られずIIb型超新星に見られる水素吸収線の特徴を見出した。


近赤外線分光による変光星の解析(福江 慧)

セファイドなどの変光星は自身の脈動によって温度などの恒星大気の物理量が変動する。近赤外線分光でのそれらの物理量の導出方法について議論するほか、最近の近赤外線分光装置についても紹介する。


低光度IIP型超新星 SN2016bkvの測光分光観測(中岡 竜也)

2016年3月に発見された低光度IIP型超新星の広島大学かなた望遠鏡による観測について報告する。このタイプの超新星は稀であるが、生成されたブラックホールに大半の大気が落ち込むモデルが提唱されるなど、注目度が高い。


クェーサーB1422+231の近赤外線分光観測による微細構造定数の研究(安達 璃奈)

宇宙遠方の微細構造定数の変化を探るために、すばる望遠鏡/IRCSの近赤外線分光観測で得られたクェーサーB1422+231のデータ解析を行った。その結果を報告する。


銀河系中心ブラックホール近傍の星の研究(五林 遥)

銀河系中心ブラックホールの近傍にある星はどのような星なのかを探るため、すばる望遠鏡を用いた近赤外線分光観測を行った。その結果を報告する。


日食撮影機材検討用簡易分光器の制作(塩田 和生)

今年8月の北米日食で、波長範囲・解像度・色再現性にこだわったフラッシュスペクトルの撮影を目指しており、その撮影機材検討用に簡易分光器を作って、様々なデジカメの分光特性の比較実験を行った。


特異なIa型超新星SN 2014dtの長期に亘る可視近赤外観(Ⅱ)(川端 美穂)

特異なIa型超新星SN 2014dtの可視赤外観測を行った。昨年の研究会以降、さらなる解析を行い、爆発モデルの議論を深めたので、その結果を発表する。


ポスター:


スペクトルを身近に(伊藤 芳春)

名刺にパンチで穴を開け,小さく切ったレプリカグレーチングシートをパンチ穴補強紙で貼り完成です。表面は名刺や天文イベント用に印刷し,裏面は制作方法や使い方を印刷し活用しています。


埼玉大学SaCRA望遠鏡を用いた分光観測体験(平塚 雄一郎)

我々は、埼玉大学SaCRA望遠鏡用に開発し、昨年完成した可視中分散分光器を用いて、高校生や大学生の研究体験を通した教育を行っている。本講演では、詳細と分光器の性能評価を紹介する。


小型低分散分光器「光藝」を用いた試験観測の報告(小倉 和幸)

私たちは学生実習用の分光器として、LLP京都虹工房に小型低分散分光器「光藝」をMeade LX200-30ACF用に作成を依頼した。現在は主に明るい星をターゲットとして試験観測を行っている。本ポスターでは、試験観測の現況を報告する。


and more to come soon ...

実行委員会構成
委員長溝口小扶里(仙台市天文台)
委 員松下真人(仙台市天文台)
 同 加藤賢一(岡山理科大学)
 同 本田敏志(兵庫県立大学西はりま天文台)
 同 山中雅之(甲南大学)
事務局長西村昌能(京都府立洛東高校)
事務局井上和俊(元大阪府立箕面高校)
 同 松本 桂(大阪教育大学)
 同 新井 彰(京都産業大学)
 同 神戸栄治(国立天文台)
 同 粟野諭美(岡山天文博物館)
 同 野上大作(京都大学)
顧 問定金晃三(大阪教育大学)


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