分光モード効率測定
観測
分光標準星 : HD19445 (2004/12/19, 2004/12/29), HD74721 (2004/12/20)
分散素子
ID
直進波長
波長域
分解能 (1".8スリット)
No.2
〜6563A
5700-8500A
R=600-800
No.5
〜4400A
3900-6900A
R=400-600
※上記値は2005年1月現在。
デュワー改造後
は 波長域が5400-9000A、3900-7500Aくらいになる予定
※1".0および1".5のスリットを製作予定。分解能はR〜1000くらいに。
No.5 オブジェクトフレームの一部+Neランプ
No.2 Neランプのコンパリソンフレーム
観測条件
2004/12/19 : hazy, airmass=1.18-1.19
2004/12/20 : clear, airmass=1.25-1.27
2004/12/29 : clear, airmass=1.01-1.02
測定
flat fieldなしでIRAFのstandardタスクまでcalibrationする。
standardの出力結果を使って($1=波長,$2=フラックス,$3=バンド幅, $4=カウント)、
photon数 : $2 * $3 * 25732.3(cm
2
) * T / 6.626e-27 / 2.99792e18 * $1
electron数 : $4 * 2.138
積分時間が60秒の時、
効率 = 2.75e-14*$4/$2/$3/$1
積分時間が30秒の時、
効率 = 5.50e-14*$4/$2/$3/$1
結果
効率曲線
No.2の660nm付近で揃うように縦軸を調整したもの
2004/12/29
この日に取得したデータが最も信頼でき、また条件も良い。
No.5ではピーク効率が約11%。
No.2ではグリズムの効率とorder cutフィルターY46の影響で悪くなって、 ピークで約7%程度となっている。
Y46の透過率は〜89%で、他の日のデータとの比較のため補正したものを 黒の破線で示している。
2004/12/20
12/14-20のrunでは2次光の事をすっかり忘れていたので、特にこの日のデータ ではλ>700nmでその影響がはっきり見えている。
※HD74721はA0型星で青いことも影響している
No.2の短波長側では、Y46の補正をした12/29のデータと合っている。
No.5とNo.2の効率の比が12/29とは違っている。右の図を見ると、12/29と12/19では 660nm付近のNo.5/No.2比が一致しているので、おそらくこの日のデータに 問題があるのだと思われる。
原因は不明。No.5のデータを取ったときに薄い雲が通過した、というのが最も ありそうな話だけど、ガイド星のログを見る限りそのような兆候はない。
2004/12/19
この日は透明度がかなり悪かった。
12/20と同様2次光の影響があるが、HD19445 (A4型星)がHD74721に比べて赤いのと、 短波長側が大気吸収で落ちているので影響は見えにくくなっている。
右の図を見ると12/29のデータとconsistentで、波長域の重なっている所では No.5/No.2比は一致しており、短波長側では大気吸収で相対的に低く、 長波長側では2次光の影響で高くなっている。
グリズム単体の効率
12/19に、Hαフィルターを入れた状態で、グリズム無し、No.2グリズム、No.5 グリズムでデータを取り、Hαでのグリズムの効率を測定した。
結果はNo.2が
36%
、No.5が
48%
。
これは12/19や12/29の6600A付近でのNo.5/No.2比とほぼconsistent
検出限界
No.2,No.5グリズムで30分間積分(2x2 binning)した場合の検出限界
観測は惑星状星雲NGC2242
2004/12/20 25-26時、月は無し
No.5
No.2
上のデータで天体のうつっていない範囲を用い、波長方向10pixel、空間方向 10-15pixelの領域での分散を求める。
スリットが1".8幅、1pixel 0".67なので1.2で割算して1平方秒あたりに換算。
それを5倍して5σ detection limitを求めたのが下の図。
明るいsky輝線のないところでは 〜1e-17 erg/s/cm
2
/A/arcsec
2
弱で、V-band で21.5-22、R-bandで20.5-21mag./arcsec
2
くらい。
輝線の場合は〜1e-16 erg/s/cm
2
/arcsec
2
。
3900A未満の効率が大きく落ちているところ以外はbackground limit
Notes
No.2はもう少し短波長側に波長域をずらした方が良いかもしれない (上記の結果は、No.5でできるだけ長波長側を取れるようにした場合に 合わせている)。
ただ、波長域を変えるためにはスリットを動かす必要があるので、両方の グリズムでデータを取りたい時は移動が大変。
現在はデュワー入口の大きさで波長域が決まってしまっているので、今制作中の 新しい部品を使えば短波長側にも長波長側にも少しずつ広がる。
詳細は
デュワーの項
で。