第20回 天体スペクトル研究会

日時
2015年3月7日(土)午後〜8日(日)午前(予定)

会場
浅口市健康福祉センター 研修室 (交通アクセス

ご挨拶
 天体スペクトル研究会は今回で開催20回となります。
 第20回を記念して、国立天文台岡山天体物理観測所、浅口市岡山天文博物館、 新しく建設されている京都大学3.8m望遠鏡など、分光観測やスペクトル教育の 「メッカ」ともいえる岡山県浅口市で開催することにいたしました。
 高度なスペクトル研究の成果報告のみならず、スペクトル利用の一般普及 および教育研究報告が発表され、盛大な実りある研究会となりますよう、 皆様のご参加、ご発表をお待ち申しております。

お知らせ(参加のご案内、申込方法、プログラム等)
第一報(2014.12.20)
第二報(2015.2.11)
第三報(プログラム等)(2015.3.1;12015.3.3修正)

予稿集

口頭発表:


光赤外線大学間連携における特異なIa型超新星の観測的研究 (山中 雅之)

近年、いわゆる極大光度-幅関係に従わない特異なIa型超新星が発見されつつある。我々は、特異なIa型超新星SN 2012Zについて、光赤外線大学間連携を通して非常に密な可視近赤外線観測を実現することができた。講演では、その詳細な結果を報告する。


新星V339 Del: すばる-HDSによる高分散分光観測 (定金 晃三)

新星V339 Delの高分散スペクトルがすばる望遠鏡(HDS 分光器)で2013年9月~12月にかけて5回観測された。水素、ヘリウムI、 II、酸素、窒素等の輝線の時間的な振る舞いを調べた。注目される特徴について報告する。


スーパーフレアを起こした太陽型星の高分散分光観測 (野津 湧太)

ケプラー宇宙望遠鏡のデータから発見された、スーパーフレアを起こした太陽型星のうち50星について、すばる望遠鏡HDSで分光観測を行い、自転速度や巨大黒点の存在を確認した。その結果をご紹介する。


Be星の位相変化のメカニズムについて (小暮 智一)

Be星には B - Be - BeShell の位相変化が観測される。これを古典的円盤モデルで説明するには困難が伴う。輝線の光学的厚さの観点から可能なモデルを考察する。


高分散分光による太陽5分振動検出ー高校生の観測実習からー (西村 昌能)

2013年8月洛東高校性は、花山天文台観測実習で太陽の5分振動の検出を試みた。他の研究を概観し、高校生が得た結果を紹介する。


京大岡山3.8m新技術望遠鏡について (野上 大作)

京大岡山3.8m新技術望遠鏡が、仮ドームの中ではあるが、この3月に竣工の予定である。本講演では、この望遠鏡プロジェクトの現状と今後の予定、目指すサイエンスについて報告する。


近赤外高分散分光器WINEREDによるDIBサーベイ (濱野 哲史)

われわれは京都産業大学神山天文台荒木1.3m望遠鏡に設置されている近赤外高分散分光器WINEREDを用いて、大規模なDIBサーベイを進めている。本発表では、われわれが初めて検出した多数のDIBとその性質について議論する。


εAurの高分散分光高S/Nモニタ観測 (神戸 栄治)

3等星のεAurは約27.1年周期の食連星であるが、未だにその正体は判明していない。ここでは最近の食を含む6年以上にわたる我々の高分散分光高S/Nモニタ観測を紹介し、その線輪郭変化について議論したい


HIDESと高分散分光:この15年とこれから (泉浦 秀行)

岡山天体物理観測所では、2000年1月に高分散エシェル分光器HIDESの共同利用が開始された。それから早くも15年が経過した。この間、いくつかの重要な天文学的成果が生まれた一方、分光器も改良が重ねられてきた。ここで一度、それらの事象を振り返ることを試みる。その上で、これからの高分散分光研究の方向性について検討を試みる。


初めて得られたSS433の可視偏光スペクトル (大橋 佑馬)

歳差運動を示すジェットを有するブラックホール候補天体SS433に対して、すばる望遠鏡FOCASを用いて可視偏光スペクトルを初めて得た。その結果連続光が有意な固有偏光をもつ可能性が高いことを確認した。


近赤外高分散分光器「WINERED」による LBV 星の分光観測 (水本 岬希)

京産大神山天文台の「WINERED」によって取得された LBV 星の高分散スペクトルを提示する。また、新たに見出したLBV 星 P Cygni の突発的質量放出現象について議論する。


高等学校の課題研究における分光分析による連星の運動の解析 (渡辺 憲)

兵庫県立龍野高等学校(2年生)で、課題研究として取り組んだ天体観測の実践報告。西はりま天文台のなゆた望遠鏡で得られた「ぎょしゃ座β星」の分光画像を分析し、連星の公転周期と連星全体の視線速度を求めた。


元素の層状分布とミクロ乱流 (加藤 賢一)

磁気化学特異星で最初に見出された元素の雲は水平分枝星にも見つかり、広がる様相を見せている。元素雲があるとした場合のスペクトル線強度をモデル計算で求めたところ、観測をうまく説明することができた。


近赤外線高分散分光に基づく星団中の赤色超巨星の化学組成解析 (山本 遼)

我々は近赤外線高分散スペクトルから金属量を導出する手法を独自に確立した。銀河系円盤内縁部に位置する散開星団中の赤色超巨星に対して得たSUBARU/IRCSスペクトルに適用することで、金属量を導出した。


銀河面変光天体探査KISOGPで発見したミラ型変光星の分光分類 (松永 典之)

銀経60~210度の広い範囲(約320平方度) 対する変光天体探査で発見した700個以上のミラ型変光星候補に対して、国立天文台岡山天体物理観測所と兵庫県立大西はりま天文台での分光追観測を行っている。


KISOGP銀河面変光天体探査と分光追観測で明らかになった共生星新星 (前原 裕之)

木曽観測所105cmシュミット望遠鏡による銀河面の変光星サーベイで発見された特異な増光を示す天体を、岡山188cm望遠鏡を用いて可視・近赤外域の分光観測を行った。観測結果と増光の原因について議論する。


WINEREDによる近赤外高分散分光 (小林 尚人)

京産大および東大の研究者からなる”赤外高分散ラボ”で開発したWINEREDは、可視―近赤外間の未開拓波長域0.90-1.35um(z',Y,Jバンド)において可視レベルの高精度高分散分ていきたい。能や初期成果を紹介し、分光コミュニティーと今後のサイエンスを考え光を実現する装置である。その性


赤外線高分散分光器「WINERED」による晩期型星の研究 (近藤 荘平)

京都産業大学と東京大学の「赤外高分散ラボ」で開発を進めてきた赤外線高分散分光器「WINERED」は2013年11月から本格観測を開始している。本発表では、晩期型星のアバンダンス測定やラインリスト作成について紹介する。



ポスター発表:


「現代天文学を築いた人々」刊行予定 (小暮 智一)

現代天文学には3つの源流がある。1)天体スペクトル、2)星の構造と進化、3)銀河と宇宙である。それぞれの源流を築いた人々の生涯と天文学を中心とした著作(京大学術出版会)の刊行を予定している。


皆既月食時の月面の色温度と明るさの関係 (竹内 彰継)

私達は、皆既月食時の月面の赤褐色が色温度の何度に相当するのか調べるために月食中の月を分光観測した。スペクトル画像を解析し、色温度を測定したところ、色温度と明るさに関係があることがわかった。ここではその結果について報告する。


グリズムを用いた可視光直視分光器の紹介 (渡邉 和明)

天体望遠鏡の接眼鏡の差込口に取り付けことができる、グリズムを用いた可視光域のコンパクトな直視分光器を紹介する。


銀河系中心領域古典的セファイドの運動 (松永 典之)

銀河系中心領域(Nuclear Stellar Disk)に発見した古典的セファイドに対して、SUBARU/IRCSを用いて近赤外線高分散分光観測を行った。その視線速度などについて報告する。


恒星のスペクトルデータを使用した色再現 (塩津 朱里)

恒星の色をフルカラーLEDを用いて再現可能かどうか調査した.色の再現方法としては,低分散分光観測によって取得した恒星のスペクトルデータからXYZ表色系のxy値を求め使用した.再現された色の正確さは色彩輝度計で計測した.この試みや教材化への検討などについて報告する.


新星の分子吸収バンド検出のための分光観測ネットワーク (新井 彰)

京都産業大では新星爆発時に検出される分子吸収バンドを用いた新星起源の同位体組成比の測定を進めている。南天における新星分光観測の可能性を広げ、また出現期間が非常に短い分子吸収バンドの検出を加速すべくBosscha天文台(インドネシア)と共同で進めている即時分光観測体制について紹介する。


and more to come soon ...

実行委員会構成
委員長泉浦秀行(国立天文台)
委 員神戸栄治(国立天文台)
 同 粟野諭美(岡山天文博物館)
 同 加藤賢一(岡山理科大学)
 同 野上大作(京都大学)
事務局長西村昌能(京都府立洛東高校)
事務局井上和俊(元大阪府立箕面高校)
 同 片平順一(中之島科研)
 同 松本 桂(大阪教育大学)
 同 本田敏志(兵庫県立大学西はりま天文台)
 同 新井 彰(京都産業大学)
 同 山中雅之(甲南大学)
顧 問定金晃三(大阪教育大学)


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