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HIDES(HIgh Dispersion Echelle Spectrograph)は188cm反射望遠鏡クーデ焦点に設置される高分散分光器です。エシェル格子を用いることにより、たくさんの次数のスペクトルを折り曲げて、分解能を犠牲にすることなく、広い波長範囲をカバーします。

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設計・製作・調整を岡山観測所員(+大学院生)の力でやり遂げました。開所以来使われてきた HILGER&WATTS製分光器(F/10カメラ)にくらべ、最高比波長分解能3倍、同時観測波長域10倍以上を誇ります。1997年春から製作を開始し、1999年春にファーストライトを迎え、2000年1月から共同利用を開始しました。2007年12月にシングルCCDから3個モザイクにして運用されています。

HIDESの主な構成要素は、スリットと較正光源、コリメータ鏡、主分散素子のエシェル格子、エシェル格子による回折光の次数の重なりを解くクロスディスパーザー回折格子、結像カメラ光学系、CCDカメラ、そして制御系です。エシェル格子は一定の姿勢に固定。CCDは2Kx4K素子のCCDを、3個モザイクにして使用。クロスディスパーザーは青用(波長4500Å以下)と赤用(波長4500Å以上)の2種類があり、瞬時に交換できます。赤用の場合一度に観測できる波長域は3750Åとなります。

分光器の総合的な性能は比波長分解能100,000が十分達成可能です。実際にスリット幅0.38"の時に2Kx4K素子のCCD上に記録されたスペクトルのどの部分においても比波長分解能100,000が実現されていることが確かめられました。さらにピクセルサイズの小さいCCDによるテストで、スリット幅を狭めると160,000まで到達できることが明らかになっています。HIDESは188cm望遠鏡で比波長分解能100,000を定常的に実現できる初めての分光器です。CCDの読み出し雑音は4.5電子相当が達成されています。望遠鏡を含めたシステムの感度については、比波長分解能 65,000の設定で12等級の天体を1時間観測すると、4000 - 7000Åの波長域においてS/N=10以上が得られます。

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