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下図(図5−4)に示すのは、5年ごとの観測天
体種別の比率の変化である。この図から明らかなよ
うに、観測天体はこの間に大きく変化している。す
なわち、初期の頃は星(恒星)が過半数を超え、星
団・星雲や銀河・銀河団が残りをシェアしていた。
80年代から銀河・銀河団等の遠い微光天体の比率が
徐々に増えてきて、2000年頃には星とほぼ拮抗する
までになった。
この状況は世界的な観測研究の趨勢と併行したも
のであるが、これは岡山天体物理観測所がその流れ
を加味して新しい観測装置を開発・製作し、実際に
共同利用観測用に公開してきたことと密接に関連し
ている。個々の観測装置の履歴は図3−1(P72)
に記載しているので、参照されたい。
長期的な傾向で見ると、カセグレン分光器が90年
代に順調に稼働し、それを追ってOASISが利用でき
るようになって、カセグレン焦点の使用と銀河の観
測は増えた。対象は微光天体へと移り、新月期の需
要が逼迫したのもこの頃である。また、OASISによ
って星団や星雲等の観測に新しい展望が開けたこと
もあり、90年代の後半はそれらの天体が多くなった。
そして、2000年にはHIDESが公開されるに及び、
恒星の観測が再び見直された。銀河や微光天体は岡
山天体物理観測所よりすばる望遠鏡へと流れ、役割
分担の上からも、188cm反射望遠鏡では恒星の高分
散分光に重点が移っていくことと思われる。
ところで、機器開発に関連して、望遠鏡時間の使
用も多少の変化が生じている。それは図5−4にも
見られるように、テスト時間の増加である。1990年
代にはOASISに引き続きHIDESが製作され、立ち上
げのフェイズではそれらの観測装置を望遠鏡に取り
付けて、実際の観測に近い状態でテストすることも
頻繁に行われるようになった。
岡山天体物理観測所における観測研究の成果は
第5章
観測テーマと対象
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
’70
’75
’80
’90
’95
2000
’85
装置機能試験、他
(年)
太陽系天体
銀河・銀河系
星団・星雲
恒星
図5−4 観測テーマの推移