観測装置
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機器交換
観測機器の交換は観測所の主たる業務の一つで、所員総出の作業である。クーデ焦点のHIDESから
カセグレン分光器への機器交換を紹介する。いくつかの作業は平行して行われることが多い。( )内
は写真の番号を示す。
1.望遠鏡の固定
装置の取り外しによって望遠鏡のバランスは大きくくずれる。望遠鏡のクランプ機構では不十分で
鏡筒が倒れるおそれがある。まず赤経軸をバーで固定し、次に鏡筒を天頂に向けロープで赤緯軸を固
定する(1)。
2.装置の取り外し
クーデ焦点での観測ではダミーウェイトがつけてあるので、まずはこのウェイトを外す。台車の位
置決めをして昇降床を上げていく(2)。台車が接触する直前でボルトをゆるめウェイトを外す(3)。
3.装置の取り付け
ダミーウェイトをカセグレン分光器と入れ替える。台車の位置決めを行い昇降床を上げる(4)。接
触する直前にボルト位置を確認し、東西-南北と対角線上にボルトを締めていく(5)。
4.副鏡の交換
副鏡は焦点ごとに違うため今回は交換が必要となる。まず鏡筒を倒し、作業者はその中に入る(6)。
ドーム上部に取り付けられたホイストで副鏡を吊し(7)、ドームを回転させて所定の位置へ移動させ
る。そこで交換したカセグレン用副鏡を先ほどの逆の作業で取り付ける(9)。
5.バランス取り
望遠鏡のバランスを取る際にはおもりを用いる。重さは3kgから20kgまで5種類あり、これらを組
み合わせてバランスを取る。赤経軸まわりのバランスをとるためにカウンターウェイト内におもりを
取り付ける(8)。赤緯軸のバランスをとるために鏡筒先のマウントにおもりを取り付ける。取り付け
が済んだら、望遠鏡のクランプを解除してバランスが取れているかを確認する(12,13)。バランスを
取る前には配線やバッフルなど付属品も装着しておく(10,11)。
6.観測の準備
すべて完了したらCCDデュワーの真空引きや冷却を行いその晩の観測に備える(14)。
1.赤緯軸固定用のロープを張る
2.ダミーウェイト用台車の位置決め
をする
3.ダミーウェイトを取り外す
4.位置を確認しながら床を上げる
5.ボルトを締めて固定する
6.クーデ用副鏡を取り外す