第3章 96 機器開発 岡山天体物理観測所ではこれまで多くの観測装置を開発・製作してきた。個々の仕様等の詳細はその 該当する箇所を参照されたいが、ここではこのような開発を可能とした設備や体制について全般的な記 述を行う。 近年は計算機が装置の設計に有効に用いられている。特に、FEM(有限要素法)による強度計算や CADを用いた電気回路の設計等が挙げられる。また、工作機械も計算機制御のフライス盤の導入によ り、複雑で細かい部品を自前で製作できるようになった。 特に改組(1988)以来、世界の趨勢に遅れをとらないレベルの観測装置を開発・製作している。ユーザ ーズミーティング等の機会に研究者の要望を伺い、また観測所勤務の研究者の観測研究に合致した装置 を開発・製作する体制を備えた。 この考えの中で実現したものが、カセグレン分光器SNGモード、OOPS、OASIS、HIDESである。こ れらは皆職員と大学院生がチームを作り製作したものである。これらの装置は188cm反射望遠鏡、 91cm反射望遠鏡の共同利用の中心となって稼働してきた。 このようにして、サイトや望遠鏡にふさわしい観測装置を自前で製作し、共同利用観測を進めること ができるようになった。 図3−51 装置開発の様子 (左上)広波長域分光器の実験 (右下)HIDES焦点部の組立調整