第3章
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観測装置
岡山天体物理観測所では共同利用観測に供するため、この40年間に種々の観測装置を開発・製作・
運用してきた。特に、開所の頃は世界的に写真が検出器として広く使用され、写真乾板を組み込んだ
装置が一般的であった。しかしながら、近年は写真より感度の高い固体撮像素子が検出器として多用
されるようになり、今や写真は完全に駆逐された。
岡山天体物理観測所における観測は主に分光観測が行われ、この間分光器がその主流を占めてきた。
特に、188cm反射望遠鏡クーデ焦点では、鏡の切り替えにより多くの高分散分光器が稼働するようにな
っていた。しかしながら、主に188cm反射望遠鏡のニュートン焦点で用いられた直接撮像カメラと、
91cm反射望遠鏡では測光器も多用された。また、共同利用装置以外は研究者自らP.I.となって製作し、
持ち込んできたものもある。このようにして、光学波長域のほとんどすべての観測的要請に応えてきた。
岡山天体物理観測所の最近の傾向としては、望遠鏡時間の効率化と、世界の第一線の観測にキャッ
チアップすべき新しい観測装置の開発が盛んに行われている。このような観点で製作されたものは、
188cm反射望遠鏡のカセグレン分光器、近赤外分光撮像装置(OASIS)、高分散エシェル分光器
(HIDES)、91cm反射望遠鏡の偏光撮像装置(OOPS)である。
以下には、この40年間に稼働した主な観測装置の諸元を記述するが、188cm反射望遠鏡では総数約30
に上る。また、この間の変遷を図3−1に示す。
1960
1970
1980
1990
2000
撮像 乾板
広波長域分光器
光電測光器
カセグレン分光器
スペックル
Glass 分光器
I. I. 分光器
Fourier 分光器
Z 分光器
グレーティングスキャン分光器
OOPS
HBS
3 色同時測光器
HIDES
恒星マグネトグラフ
Fabry-Perot
Fiber 分光器
3D 分光器
Image Stabilizer
近赤外分光器
近赤外測光器
近赤外測光器
Échelle TICCD
Échelle
F4 Camera 乾板
F10 Camera 乾板
I. I. 45mm 90mm
IDARSS
RCA CCD
HBS
星雲分光器
Quartz 分光器
撮像 RCA CCD
Seeing Monitor
PtSi
OASIS
共同利用観測装置
P.I. もしくは持ち込み観測装置
図3−1 観測装置の変遷(名前の略号は本文中を参照されたい)