第2章 68 蒸着作業 反射望遠鏡の鏡の反射率は蒸着直後は約92%であるが、1年間使用すると60〜70%に落ちてしまう。 観測所では毎年6月にすべての鏡の再蒸着を行う。蒸着が終わると、望遠鏡の組み立て、光軸調整、 テスト観測を経て7月下旬に共同利用再開となる。 @昇降床を使い専用台車を主鏡セル位置まで上げ、188cm 反射望遠鏡の主鏡セルを望遠鏡から外す B1階へ吊り降ろされる188cm主鏡 D1階にある洗浄台に置かれる蒸着前の188cm主鏡 反射率60〜70%(650nm)40〜50%(400nm) A主鏡セルを外した188cm反射望遠鏡。鏡筒側についたミ ラーカバーが見える C主鏡セルから主鏡を外したところ。主鏡の支持機構がよく 見える E10%苛性ソーダ溶液で古いアルミニウム膜を剥がす 188cm反射望遠鏡
望遠鏡とドーム 69 F水洗後、重炭酸ナトリウムで鏡面を研磨する H蒸着釜へ固定され、立てられた主鏡 I真空タンク  内側12本外側24本計36本の電極がみえる。 さらに外側に見える銅パイプはマイスナ−コイルと呼ばれ ている。ここに液体窒素を流し込むと空気分子が表面に吸 着し、真空度を上げることができる G柔らかい乾燥綿布で拭き上げる J7×10−5Torrの圧力に到達した時、マイスナ−コイルに液 体窒素を流すと一気に6×10−6Torrになる。イオンボンバ ードの後にアルミニウムを蒸発させる。膜厚は約80nm K蒸着後の鏡面検査  生成されたアルミニウム膜 の強さをテストしている。鏡面にスコッチテー プを貼り付け、勢いよく剥がす。テープにアル ミ膜が付着していなければ合格
第2章 70 1.91cm反射望遠鏡の主鏡セルを望遠鏡から外す 3.ドームクレーンで主鏡をトラックに積み込み、188cm 反射望遠鏡ドームへ 4.91cm主鏡を蒸着タンクにセットしている。タンクは埃、 油、水分など嫌うので作業には気を遣う 木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡主鏡をタンクにセ ットするため準備をしている。上側に見えるのが主鏡 2.主鏡セルから主鏡を取り外す 65cmクーデ型太陽望遠鏡の主鏡、副鏡、クーデ鏡の洗浄 が済んだところ。このようにいろいろな鏡の蒸着を行う ■ 91cm反射望遠鏡 ■ 65cmクーデ型太陽望遠鏡 ■ 他の機関